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2005-01-21 唐豆腐(fiction)

からみ器

くう記

先週の土曜日のことだ。休日によくあるように、午まで惰眠を貪り喰っていたら、腹が減った。喰っているのに腹が減るとは、けしからんとムカついた。おれがムカつくのは大抵空腹のときだと決っている。ムカつきの度が過ぎると、電話をぐりぐり押したりなどして軽く二時間は費してしまうから、何とかせねばと空腹でウロになった頭で考えた。

さっさと行動したほうがいいとわかっていたから、すぐに出かけることにして家を出た。空腹にもかかわらずおれの体はリズム良くケッタを漕いだ。知らぬ奴が見たらまるでダンスしているかに見えたに違いない。そうしておれは「みらに寿司」に向ったのである。

空っぽになった腹が音を立てそうになっていたんだが、おれはそんなことおかまいなしに、高校の生物の時間に習った話を思い出していた。トラフグのような顔をした生物教師が真顔で教えてくれたことには、どうやら人間っていうのは最高でも時速15km位で移動することを前提として設計されているらしい。だから、自転車のような道具を使って猛スピードで走っていると、平静時には決して出ないはずのカラミジルが盛んに分泌されるようになる。

そんなわけで「みらに寿司」に入ってすぐのおれの顔は、おそらく深暗く透明な鏡のようになっていたに違いないのだ。カラミジルの効果で、顔髪(がんぱつ)の色などは濃く重くなり、逆に声勢などはやけに明るくなっていた筈だ。対面式の料理台の向うで、親父が飯を握っていたのが意味もなく空腹感を増長させた。

ピカッ。親父の額に汗が光っている。そして、この店で使っている米の銘柄は稲光(イネノヒカリ)だ。おれはますます愉快になって激しく高揚し、対面の椅子に着いた。体の中をカラミジルが、滝のように循環しているのを、感じていた。(了)

感想

何も考えず、一気に書きおろしてみた。しかし何もないと逆に書きにくいから、「みらに蕎麦」の話を下敷にした*1。短時間でさらっと書いたわりには、なんとなくまとまったような気がする。電車で二駅ほどの移動などというときに、PDAやケータイなどを使って閲覧してもらうには、ちょうどいいくらいの分量かもしれない。ちがうかもしれない*2

*1:「みらに蕎麦」の話:古い記事は消す方針だからあえてリンクは書かないことにする。

*2:いずれにせよ、圧倒的に量も少なく構造も貧弱で、とうてい批評に耐えられるようなものではないことは、わかっている。素人の言葉遊びだ。

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